古代から日本の八百万の神々とともに語り継がれてきた「妖怪」。かつての絵師たちが筆を走らせ、人々の想像力の中に息づかせてきた彼らが今、最新のテクノロジーによって現実の世界へと飛び出します。2026年3月、天王洲アイル・寺田倉庫にて、江戸・明治の妖怪美術に最先端のデジタルアートが融合する、世界初のイマーシブ・ミュージアムが幕を開けます。
百鬼夜行が目の前で動き出す、驚異の没入体験
今回の「動き出す妖怪展 TOKYO」の核となるのは、3DCGやプロジェクションマッピング、ホログラフィックスクリーンを駆使したダイナミックな映像表現です。単に展示物を眺めるだけでなく、来場者自身が妖怪たちの行列「百鬼夜行」に迷い込んだかのような体験ができるのが最大の特徴です。
展示は映像だけに留まりません。会場には鬼や天狗、河童といったお馴染みの妖怪から、日用品が命を宿した「付喪神(つくもがみ)」に至るまで、細部まで作り込まれた迫力の立体造形が登場します。映像の没入感と、物理的な造形の存在感が融合することで、妖怪たちの表情や質感、そして独特のユーモアが圧倒的なリアリティを持って迫ってきます。
さらに本展は、歌川国芳による浮世絵の実物展示や、日本初の古書博物館である西尾市岩瀬文庫、小豆島の妖怪美術館の協力のもと、妖怪文化の歴史を紐解く学術的な深みも兼ね備えています。江戸から明治にかけて描かれた『百鬼夜行絵巻』や『百物語』が、どのように現代のポップカルチャーへと繋がっていったのか。その系譜を辿ることは、日本人の根底にある想像力の源泉に触れる体験になるはずです。

二つの特別な「グリーティング」と浅草への進出
ここで、展示をより深く楽しむためのイベント情報をご紹介します。
会場を練り歩く「等身大」の妖怪たち
会期中の土日や春休み、GW期間には、会場内に「天狗」や「河童」など等身大の妖怪たちが現れるグリーティングが実施されます。さらに、毎週土曜日とGWの16時以降は、より多くの妖怪が登場し、少し怖さが増した特別な「怖さマシマシグリーティング」へと変化します。映像空間の中に本物の妖怪が紛れ込む演出は、イマーシブ体験を究極の形へと昇華させています。
妖怪グリーティング
実施: 会期中の土・日、および春休み(3/27〜4/5)、GW(5/2〜5/10)の全時間帯。
内容: 天狗、河童、座敷わらし、雪女などが館内を巡回。一緒に写真撮影も可能です。
怖さマシマシ妖怪グリーティング
実施: 会期中の毎週土曜日とGW特定期間(5/3〜5/6)の16:00以降。
内容: 妖怪の数が増え、栄螺鬼(さざえ鬼)や女郎蜘蛛など、少し怖さが増した妖怪たちが登場する「夜限定」の特別演出です。
浅草を埋め尽くす「浅草百鬼夜行パレード」

本展の開催を記念して、2026年4月4日には浅草六区ブロードウェイにて『浅草百鬼夜行パレード』が開催されます。一般参加者も妖怪の仮装で参列できるこのイベントは、まさに現代版の百鬼夜行。フレグランスブランド「破天荒」とのコラボにより、桜吹雪の香りが漂う中で行われるパレードは、五感すべてで妖怪文化を享受する特別な一夜となります。
詳細はこちら(新しいウィンドウで開きます): https://www.yokaiimmersive.com/news/y7lZDuMi
デジタルと立体が切り拓く「和」の表現
本展に注目するのは、目に見えないはずの「怪異」をどう定義し、視覚化しているかという点です。かつての絵師は墨の掠れや色の滲みで妖怪の気配を描きましたが、現代ではデジタル技術による光と動き、そして立体造形による物質感がその役割を担っています。
特に「付喪神」のように、無機物に魂が宿る瞬間のグラデーションをどう表現するか。デジタルの鮮やかさと、古書に見られるアナログの質感。その対比の中にこそ、私たちが今の時代に描くべき「和の精神性」のヒントが隠されていると感じます。古い絵巻の構図を尊重しつつ、そこに3Dの奥行きを上乗せする手法は、私たちの創作活動においても極めて重要なインスピレーションとなります。
今回、寺田倉庫という現代的な空間で妖怪たちと対峙することは、単なる鑑賞を超えた「対話」になるでしょう。姿形を変えながら、常に日本人の傍にあり続けた妖怪たち。その貪欲な生命力を浴びて、私たちもまた、自分だけの「和」を筆へと託していく。
描くことは、目に見えない魂に形を与えることそのもの。 妖怪たちの冒険は、今も私たちの想像力の中で、そしてこの会場の中で、力強く動き出しています。
関連情報
- 展覧会名:動き出す妖怪展 TOKYO 〜Imagination of Japan〜
- 会場:寺田倉庫 G1ビル(東京都品川区東品川2丁目6-4)
- 会期:2026年3月27日(金)〜6月28日(日)
- 開館時間:9:30〜20:00(最終入場19:30)※最終日は17:00まで
- 公式サイト:https://www.yokaiimmersive.com/tokyo